Part 3

朝霧冷気平成9年(1997年)

     F20号(72.7cm×53.0cm)

 上高地,河童橋から明神池に向かって,5分程度歩いたところですが,この日は小雨上がりの霧が上がっていくところで,絶好の機会…と西糸屋山荘を早朝に出ました。
 ここも丁度,早朝の冷気で水面は薄い靄が立ち,向かいの山は霧が上がり始め,静寂な中に鳥の鳴き声が響き渡り,寒かったがなかなか見られない景色だった。
 この後,明神池に行く途中の森の中で,道の両側の柵の上にいる7〜8匹の猿の家族と出くわして,目を合わせないように周りの景色を見ながら,知らぬ振りをして怖々と妻と二人で通り抜けました。
 熊よけの鈴は,ぶらさげていましたが,やはり早朝は危険が多い。

 第十四回鳳墨会水墨画展(平成9年10月)
              芸術新聞社賞
阿寒精気平成10年(1998年)
        M20号(72.7cm×50.0cm)
 

 神奈川新聞社の教室に,先生の静寂な湖畔の絵が飾ってあり,いつもあんな所の絵を描きたいと思っていました。
 以前,北海道へ出張に行った帰り,毬藻を見に阿寒湖に寄りました。船で行った阿寒湖の奥の毬藻のいる所は,緑色の湖底が見え,澄んだ水に周りの緑の景色が映り,それはもうオールグリーンの静寂な世界でとても神秘的でした。
 先生の絵を見る度に思い出した景色なので描いてみました。
 阿寒湖畔の景色はまだあるので,次はもっと幻想的な絵にしたい。

 第十五回鳳墨会水墨画展(平成10年)佳作
静秋明神平成11年(1999年)

 
      P30号(90.9cm×65.2cm)
 地震活動が活発で入山規制されそうな平成10年晩秋,今度は水墨画教室の仲間10人で,紅葉が終わり人も少なく小屋を閉める寸前の上高地を3日間,河童橋の上流役12Km横尾山荘の少し奥,槍見台まで散策しました。
 明神池は,何時来ても素晴らしい景色で,1日中いたい所です。
 池のそばの山のひだやに泊りましたが,岩魚の刺身を始めて食べましたが,あんなに甘いとは知りませんでした。夕食中には鈍く重いドーンという音と共に一発下から突き上げられ,皆飛び上がるほどで,地震の怖さを体感しました。
 また,夜中の満天の星は見事だった。

  第十六回 鳳墨会水墨画展(平成11年)
峠の初冬平成11年(19989)
        P20号(72.7cm×50.0cm)
  
 平成5年秋,山梨の昇仙峡に行き,西沢渓谷から奥多摩に抜ける狭い落石の転がる危険な旧街道の峠に,小さな牧場がありました。
 牧場はまだ緑で,牛がのんびりと草を食べていました。
 紅葉が終わり澄んだ初冬の青い空に,落葉寸前のドングリの林が風を受けて,白く輝いていました。
 昔の人は,重い荷を背負って,この峠越えをしたんだな…と,いっとき眺めていました。

  第十七回 鳳墨会水墨画展(平成12年)
峠の穏景平成11年
      (1999年)

   P50号
   (116.7cm×80.3cm)
 始めての50号,最初はやはり雄大な富士山を描こうと挑戦しました。この絵は,忍野の東の七曲峠からの春の早朝の景色です。
 遠くには南アルプスの雪の山々が見え,あの向こうが信州伊那谷,故郷です。
 手前の盆地が,お花畑や忍野村で,朝日が昇り,海からこの日一番の雲がいつの間にか出てきていました。
 次の富士は,画面一杯に富士山と雲を描こうと思っています。

第7回神奈川県水墨画公募展(平成12年)              奨励賞

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