Part 24
「忍び寄る龍霧」 平成29年(2017年) F30(90.9cm×72.7cm) 第49回全日本水墨画秀作展 無鑑査 飯田市・天龍峡温泉交流館へ寄贈
|
|
故郷、信州飯田の天龍下りや市丸の唄で名高い、名勝「天龍峡」、紅葉も素晴らしく観光客も多い。この渓谷に浮かぶ帆掛け船と子供の頃よく遊びに行った思い出の多い「龍角峯」を描いた。 その中にある公園に地元の憩いの場として温泉が有り、皆が集え、観光客の為の土産物店や地元の蕎麦も食べられる、「飯田市・天龍峡温泉交流館」が平成29年4月10日に開館した。 地元で町おこしに努力している高校の同級生から、この交流館に飾るため、この天龍峡を水墨画で描いて欲しいと前年の4月に依頼があり、下絵から薄墨で描き始め、約8ヶ月掛かって仕上げた。 諏訪湖から太平洋に流れる天龍川の川幅は、広いところで200〜300mある。しかし、ここ天龍峡の川幅は、30〜50mであり、大量の水がこの狭い峡谷に流れ込んでいる。 よって水深は20〜30mと深い。こうしたところは、水面は穏やかでゆったりと流れているが、水面下では多くの岩にぶつかり、渦を巻いていて、恐ろしい流れとなっている。 穏やかな流れの中に、水面下の恐ろしい流れの影響を受けて、水面の波が変わる所がある。これを表現するのに苦労した。 また、天龍川は、気温と湿度の関係から、朝は日の出前、太平洋から天龍川に沿って、時速約200km程の猛スピードでもくもくと雲のような真っ白な濃い霧が天龍川をなめるように走っていく現象が見られる。 これが天龍川の語源の一つと聞いている。これが諏訪の方まで登った後は、それが伊那谷全体に広がり、伊那谷が雲で覆われた様に真っ白な世界となり、これが作物やリンゴなどの果物に良い影響を与えているようだ。 濃い霧の中を1時間かけて学校によく通ったものです。 田舎にいた頃は、あまり気にせずにいましたが、改めて実際に確認すると物凄い自然の力を痛感した。 しかし夕方の霧は、ゆっくりと登ってくる、この天龍峡でも下流から忍び寄るように霧が迫ってくる。 こうした光景を龍角峯下に表現してみたが・・どうかな?。 交流館では、同級生が地元の美味しい蕎麦を打っています。 この交流館のすぐ下流で東名高速(浜松)と中央道(飯田)を結ぶ「三遠南信自動車道」の天龍峡大橋の工事が(平成31年完成予定)始まっている。これが完成すると、これまで船下りなどでしか見られなかった天龍峡と天龍川下流の紅葉などの絶景が見られます。 信州飯田に行きましたら、是非温泉に入り蕎麦や山菜の天ぷらなどを食べに寄ってみて下さい。 |
|
![]() |
「湖畔の朝」 平成28年(2016年) F10(53.0cm×45.5cm) 八甲田周辺にある池の朝、朝靄が上がっていく様子を朦朧体を意識して小作品として描いた。 |
「赤富士」 平成29年(2017年) F10(53.0cm×45.5cm) 河口湖側からの赤富士、重厚さを出せるよう多種の赤と黄土色を混ぜて描いてみた。 |
|
「雪ぶとん 平成29年(2017年) F10(53.0cm×45.5cm) 故郷の風越山の登山道にあるお地蔵さん、雪の布団で寝ているようで暖かそう。 |
|
「富士に桜V」 平成29年(2017年) F10(53.0cm×45.5cm) 桜の咲く満月の宵の富士はいつ描いても同じようには描けない。 晴れた日に夕方から露天風呂 に入って、日が暮れていく空を眺めていると、薄青〜だんだんと濃い素晴らしい青に変わっていく。 月もはっきりとして、深黒の空に星も輝いて、至福の一時に浸ることができる。 露天風呂は実に有難い。 |