Part 25
「厳然神気」 平成30年(2018年) F30(90.9cm×72.7cm) 第51回全日本水墨画秀作展 玉雲賞 聖マリアンナ医科大学病院 横浜市西部病院へ 寄贈 |
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どんなに寒くとも全面氷結しない池から湧く霧が、唐松などの木々に絡みつく霧氷の景色、いかめしく厳かで不思議な霊気を感じる所、上高地・田代池。 バックの黒と木々に絡みつく霧氷の前後の景色の遠近感とうっすらと湧く霧の表現に苦労した。 制作期間は構想と下絵から霧を入れるまで約8ヶ月、 越前和紙の白を最大限に活かせたかと思う。 この田代池は、春夏秋冬いつも魅了してくれ、特に10月末ら11月初めの紅葉が終わって、ホテルが店じまいを始めた頃が、天気も良く澄みきった空も青く、夜の天の川も綺麗に見えるし、観光客も殆ど無く、葉が落ちて、周辺の景色が見通せて、いい景色がいっぱいで好きである。 しかし上高地の朝は、この時期、特に明神池への途中では、時に猿の大家族に遭遇するため、複数の仲間と行った方がいい。 |
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「厳然神気U」 平成30年(2018年) F30(90.9cm×72.7cm) 第2回日美展 |
厳然神気は上高地・田代池の、正面からの景色であるが、Uは少し下がって右からの景色。 | |
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「御射鹿池春暁」 平成31年(2019年) F30(90.9cm×72.7cm) 第53回全日本水墨画秀作展 評議員委嘱 |
長野県茅野市豊平の標高1,100mの高地に、昭和8年に農業用水として造られたため池で、面積は約0.1ha、水深7m、酸性が強く魚などが生息できない、このため湖底に酸性水を好むチャツボミゴケが繁茂し、湖面に木々がきれいに映る要因となっている。
奥蓼科にひっそりと佇むこの幻想的な湖は、有名な名画、東山魁夷の「緑響く」の舞台となった湖で近年観光客が多く、湖面に写る美しい緑や紅葉を堪能している。 若葉や紅葉の頃は行ったことがあるが、冬は雪が多いので行ったことがない。一度行って雪の御射鹿池を描いてみようと思っていた。 早朝に雪の山道を一人、車を走らせるのは心細かったが、着いて見ると濃い朝靄が山を上がって行く素晴らしい景色で、池は湖畔の境がわからない程、雪で覆われており、足下を確かめながら、誰もいない湖畔で写真を撮りまくっていた。 鹿やウサギが出てこないか待っていたが、現れなかった。 3月なので水の流入部分から雪解け(全体の1割ほど)が始まっており、丁度考えていた水墨画の構図に出会えて、現場の雰囲気を脳裏に叩き込んだ。 そのうちに、NHKのカメラマン達7〜8人が市役所の職員と共に来て、池の景色を高級なビデオやカメラ数台でくまなく撮影し始めた。 池の周囲には柵があり、柵の中に入るには許可がいるそうで、遅く来たら入れなかった。 おかげでNHKのカメラマンのカメラアングルをしばらく見物、勉強となった。 帰ってから、インターネットで御射鹿池の写真を検索して見たが、私のこの水墨画の構図の写真は、全く見当たらず、雪景色も殆どなく、このアングルは初かもしれない。 朝靄が上がっていく様子、雪に覆われた薄暗い山中の静寂感、枯れた唐松の大木、芽吹きの始まった白樺林、雪の中から芽を出す小さな木々などの表現がうまく出せたかどうか。 湖畔のアングルは大体現地と同じであるが、左手前の大きな唐松と白樺はもっと手前にあったが、画面全体の一番手前に持ってきた。 時間が限られた中、急いだ部分もあるが、全体の雰囲気は表現できたかと思う。 半年後の秋、紅葉を見ようと行ってみたが、観光バスが10数台、乗用車も何十台と柵の周りは人混みでびっくりでした。 3月に私の歩いた湖畔は、水面の中だった。 |
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「我が家のナツメ」 平成31年(2019年) F10(53.0cm×45.5cm) 第30回全日中展 |
孫が誕生すると記念に実のなる木を植えてきました、中でも「ナツメ」は毎年、多くの実を付けるが、昨年は蒸し暑い長夏の為か、特に多くの実が付いた。ナツメ越しに見える丹沢山塊の大山をいれて描いてみた。 | |
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「ぶどう」 令和1年(2019年) F10(53.0cm×45.5cm) |
結婚50周年のお祝いを子供や孫達が蓼科温泉のホテルで開いてくれた、その途中、信玄餅の詰め放題、ぶどう狩り、武田神社参拝、ほうとうの昼食、その中でのぶどう狩り、久しぶりにぶら下がっているぶどうを食べた。おいしいのを孫が選んでくれて楽しく食べた。そのぶどう棚を描いてみた。 翌日は、天気もよく、北・八ヶ岳ロープウエーで溶岩の山頂をみんなで回り、北アルプスなどの遠望を眺めながら記念写真を撮り、ついでに紅葉の御射鹿池に寄ってみた、3月に一人で来たときは、誰もいなかったが、紅葉の時期だ、観光バスの観光客でごったがえしていた。 |